転職活動を進める中で、「転職理由を本音で伝えていいのか?」で悩んでいませんか?
僕が実際に転職活動を進める中で行き着いたのは、「転職理由によって本音と建て前を使い分けるべき」ということです。
この記事では、
・具体的にどのような基準で使い分けるか
について、僕が転職面接の中で実践した内容を踏まえて解説します。
この記事を読むことで、
・転職理由を聞かれても自信を持って答えられる
ようになりますので、転職理由の伝え方で悩んでいる人に読んでもらいたいです。
転職理由は本音でOKと言われる理由
「転職理由は変に飾ることなく本音で伝えるべき」と言われることが多いです。
このように言われる理由は次の3つで、
・うまくごまかそうとしても、結局バレてしまう
・本音は説得力がある
・ネガティブな内容でも、反省と今後どうするかを付け加えることで、ポジティブな内容に変えられる
というものです。
確かに本音を伝えるのは自分をダマさなくていいのでラクですし、
一見マイナス要素にみえるものでも準備さえしておけば、大きな問題にはならない、
もしくは、ポジティブな要素に変えられるので、ムリにごまかそうとする必要はありません。
この点については僕も賛成です。
ただ、転職理由によっては本音ばかりではのりきれないケースがあります。
転職理由は内容によって本音と建て前を使い分けるべき理由
一言で転職理由と言ってもその内容は様々です。
ー退職理由の本音ランキングー
1位:上司・経営者の仕事の仕方が気に入らなかった(23%)
2位:労働時間・環境が不満だった(14%)
3位:同僚・先輩・後輩とうまくいかなかった(13%)
4位:給与が低かった(12%)
5位:仕事内容が面白くなかった(9%)
6位:社長がワンマンだった(7%)
7位:社風が合わなかった(6%)
7位:会社の経営方針・経営状況が変化した(6%)
7位:キャリアアップしたかった(6%)
10位:昇進・評価が不満だった(4%)
(出典:リクナビNEXT「転職理由と退職理由の本音ランキングBest10」)
ポジティブな理由もありますが、ほとんどがネガティブなものであることが分かります。
もし、面接で転職理由を聞かれてそのまま答えたとしたら?
あまり良い評価が得られないのは間違いないでしょう。
というのもどの会社にでも、多少はあることですからね。
採用担当者も「このノリで来られても、同じ理由で辞めていく可能性大だな〜」と考えて、採用リストの順位を下げられてしまうでしょう。
そうならないように、本音を語った上で、反省と今後どうするかを付け加える、という対策をとって評価を上げていくのですが、問題なのは、
”全ての転職理由にこのやり方があてはまる訳ではない”
ということ。
言い換えると、
”転職によって解消できない問題については、このやり方は効果的でない
”
ということです。
たとえば、
「遺産相続でもめて親戚から嫌がらせを受け、仕事がしづらくなって地元を出てきました。とりあえず、生活できるだけの資金が欲しいんです!」
のような理由だと、本人が反省して転職先で頑張ったところで問題(親戚からの嫌がらせ)が解決するわけではないですよね。
会社にとっても、「と、言われてもなぁ。面倒くさそうだからやめとこか…」と判断されてしまいます。
なので、転職理由については、
・本音OK:転職によって解消できる理由
・建前:転職によって解消できない理由
という基準で使い分けるのがオススメです。
(理由)転職理由によっては本音を伝えても効果がないものがある
(本音と建て前を使い分ける基準)
・本音OK:転職によって解消できる転職理由
・建前:転職によって解消できない転職理由
具体的な転職理由の伝えかた
僕が実際の転職活動で、どのような基準で本音と建て前を使い分けていたか、また、具体的にどのような伝え方をしていたかを紹介します
本音で伝えたもの1:希望年収
収入については素直に伝えました。
転職理由としてではなく、入社条件の交渉の際に聞かれたのですが、控えめに言ってしまうと入社後に必ず不満を感じるので、それだったら最初から正直に伝えようと思っていたからです。
収入が重大な転職理由であれば、なおさら、はっきり伝えるべきです。
転職は、今の職場に不満があるからこそ踏み出すものですから、その解消すべき要素を”フワフワ”したままにしておくことは、絶対にいけません。
言いづらいことなので、避けたい気持ちもよく分かるのですが、最初から「これは言わなきゃいけない」と準備しておけば、面接でもスッと言い出せるものです。
僕は、
「現職はこれくらいなので、少し上げて欲しい」
という言い方で伝えていました。
今考えると弱気ですね。
今なら「このスキルでコストを年間いくら下げられるから、その半分を給与にしてくれ」みたいな言い方で場をなごませてから、「でも予算があると思うので、現職の給与から○○円だけ上げて欲しい」と現実的な線を提案すると思います。
本音で伝えたもの 2:リストラ
僕が転職した理由の1つは、リストラ対象になったからです。
これも調べれば分かることなので、特に隠すこともありませんでした。
これも転職理由として聞かれたわけではないのですが、話しの流れで「リストラの時の雰囲気ってどうだったの?」という話しになったので、「ええ、ギスギスしてスリリングでしたよ」と伝えていました。
「しらべれば分かってしまうもの」「どうしようもないもの」は、そのまま話しちゃえばOKです。
本音で伝えたもの3:仕事が合わない
自分に合わない仕事、自分に向いていない仕事、を長くやるのは本当につらいものですよね。何とか慣れようと努力しても、合わないものは合わない。
長く続いていくキャリアの中で、そんな仕事を続けていくのは、とても耐えられないでしょう。
仕事が合わないから、仕事を変える
これほどシンプルで説得力のある転職理由はないでしょう。
転職によって仕事を確実に変えるためにも、「今の仕事が合わないので変えたい」という転職理由は、会社側に本音でしっかり伝えるべきです。
僕もメインの転職理由はこれでした。
「現職の仕事を続けるだけでは、プロフェッショナルとしてやっていくには限界を感じていました。この会社のこの部門で、この仕事をすることで職域が広がると考えています」
「現職で身につけたスキルと知識は、この会社のこの仕事でも生かすことができます」
このように伝えていました。
建て前で伝えたもの1:ブランク
何の自慢にもなりませんが、僕はまあまあ長期のブランクがあります。
勉強も仕事をしてない”社会からの離脱期間”ですね。26歳から8年くらいです。
転職活動中、ここは間違いなくツッコまれまくって「いやだな〜」と思っていましたし、「何が正解なんだろう」とずっと自問自答していたところです。
会社からすれば、気になるところですし「それ聞かない採用担当者って、いる意味あるのか??」レベルのことなので、当然のことなんですけどね。
そこで面接のたびに試行錯誤した結果、先ほども触れた、
”転職しても解決しない理由については、伝える意味があまりない”
という理由で「やっぱり建て前で答えることも必要」という結論に到ったのですが、建て前を使う時には気をつけていたことがありました。
②自分から話すことはせず、聞かれたことにだけ答える
③答える内容は、いくつかの候補の中から前向きなものを選ぶ
この3つです。
①「ウソをつかない」
ウソをついてその場はうまく行ったとしても、入社後にバレて信用を失ってしまいます。そもそも契約違反になりますし、足を踏み入れてはいけないところですから、絶対にやらないようにしました。
②「聞かれたことだけ答える」
変に気を回して「はいはい、ブランクの理由聞くんでしょ。こっちから答えてあげますよ」みたいなことはしないということです。
もし聞かれなければスルーすればいいですし、「ブランクの期間は何をしていましたか」という方向で聞かれれば、「やっていたこと」を答えれば良いので、
「就職の足がかりになるように、たくさんの人と会っていました」
「起業するための準備をしていました」
「実家の事業を手伝っていました」
など比較的ポジティブな答えで切り抜けられます。
自分で傷口を広げるような事はせず守りに徹して、最低限の受け答えで切り抜けるのが賢明な方法です。
③「答える内容は、いくつかの候補の中から前向きなものを選ぶ」
僕の場合、ブランクの直接の原因は「うつ」でした。
長期間のブランクは、それなりの理由がないと納得させられません。
ただ、当時は社会的にも理解が進んでいなかったため、「うつ」と真正面から答えると、会社としてもなかなか受け入れてもらえない状況でした。
そこで、僕がどう答えていたかというと、
「体調不良で大学院を続けられなくなり、療養していました」
というものでした。
ブランクの長さを考えると「療養が必要だった」という答えは避けられないと思ったのでそのまま伝えて、「うつ」のところに建前を使って「体調不良」と答えるようにしたのです。
「うつ」の状態も、「体調不良」であることには変わりありませんから、ウソではないですし、具体的な病名や症状を語ったとしても、聞く側は困惑するだけです。
「体調不良」ということであれば、健康診断で問題がなければ、快復していることも証明できますから、「今は快復していて、問題なく働けます」という主張にも無理なくつなげられるのもポイントでした。
このように、建て前で答える場合は、候補になる答えをいくつか用意しておいて、少しでも前向きな印象になるものを選ぶことで、マイナスの印象を避けるようにしていました。
建て前で伝えたもの2:人間関係の悩み
人間関係の悩みは、職場を変えたからと言って解消するわけではありません。
どんな職場でも自分に合う人、合わない人、がいますから、人間関係の悩みが解決できるかどうかは、運次第ということになるでしょう。
なので、転職理由として「人間関係の悩みが転職理由です」と伝えることに、そこまで意味はありません。
わざわざそれを伝えても、「うちの会社でも合わない人がいたら辞めちゃうんだろうな」と思われてしまいますので、わざわざ本音を伝える必要もないでしょう。
本音と建て前で言えば、”スルーする”という選択も1つの”建て前”ですから、「面接でどう話すか」だけでなく、「面接で話すかどうか」もしっかり検討すべきところです。
・建て前で答えるときのポイント
①ウソはつかない
②自分から話すことはせず、聞かれたことにだけ答える
③答える内容は、いくつかの候補の中から前向きなものを選ぶ
・「スルーする」のも一つの”建て前”なので、面接で「どのように話すか」だけでなく「何を話さないか」も慎重に検討しておく
まとめ
転職理由は、本音と建て前を使い分けた方がよい理由を解説しました。
まとめると、
・建て前を使う場合は、
①ウソはつかない
②自分から話すことはせず、聞かれたことにだけ答える
③答える内容は、いくつかの候補の中から前向きなものを選ぶ
の3点に気をつける
・面接でスルーすること(何を言わないか)も検討する
になります。
正直であることは大事です。
それが分かっているからこそ、本音を通すべきかで悩みます。
この記事を使って、自分なりに本音と建て前を整理しておけば、
その悩みは小さくなるはずです。
自分の本音に従って転職を進めるためにも、不安や迷いはできるだけ取り除くようにしましょう。